某市職員の引継ノート

後輩に引き継ぎたい事項を記載したものです。

間接補助金等を受けた資産の処分に係る判例

千葉県総務部政策法務課政策法務班「政策法務ニュースレター」2019/1/25 vol.15-3「補助金制度の運用の留意点」に間接補助金等を受けた資産の処分に係る判例が紹介されていた。

バイオマス事業補助金返還請求控訴事件(栃木県・宇都宮市

 国から平成17年度バイオマスの環づくり交付金の交付を受けた栃木県が,同交付金宇都宮市に対して交付し、宇都宮市が、それを株式会社エコシティ宇都宮に対して交付したところ、国が、栃木県に対し、エコシティが上記交付金により取得した堆肥化施設について開始された担保不動産競売手続を、補助金適化法22条の規定に基づき国庫補助金相当額の納付を条件として承認したため、栃木県が国に対して同額を納付したとして、栃木県が、宇都宮市に対し、同額1億9,659万956円の支払を求めたもの。

栃木県補助金等交付規則第24条(財産処分の制限について、「補助事業者等は、補助事業等により取得し、又は効用の増加した不動産及びその従物等を、知事の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用し、譲渡し、交換し、貸し付け又は担保に供してはならない」と規定。)が、関節補助事業者等(この場合エコシティ)に適用又は類推適用されるか、という点について、裁判所は、以下のとおり「適用されない上、類推適用もされない」とした。

 県規則24条は、補助事業者等が補助事業等により取得等した財産の処分について制限を課す規定であり、間接補助事業者等が間接補助事業等により取得等した財産の処分について直接に規律するものではない。また、県規則においては、補助金等は原告が主体となって交付するものであり、間接補助金等は国及び原告以外の者が主体となって交付するものであるから、補助金等と間接補助金等は、上位、下位の関係にある用語ではなく、それぞれ独立した概念を規定する用語である。したがって、補助金等の交付を受ける主体である補助事業者等と間接補助金等の交付を受ける主体である間接補助事業者等についても、それぞれ独立した概念を規定する用語である。そうすると、県規則は、間接補助事業者等が間接補助事業等により取得等した財産の処分について制限を課すか否かについては直接に規律しておらず、むしろ、補助事業者等が間接補助金等の交付に当たってどのように規律するかに委ねているものと考えられる。
 したがって、県規則24条は、間接補助事業者等であるエコシティには適用されない上、類推適用もされない。

栃木県の宇都宮市に対する県補助金相当額の納付を条件とした財産処分の承認について、以下のとおり栃木県が宇都宮市に対して承認するべき根拠を栃木県補助金等交付規則24条に求めることはできないとした。

前述したとおり,県規則24条が間接補助事業者等であるエコシティに適用又は類推適用されることはない。そうすると,本件不動産が担保不動産競売手続において売却されることが,そもそも県規則24条が想定するような財産の処分に当たるか否かは措くとしても,原告がこれについて被告に対して承認をするべき根拠を県規則24条に求めることはできない。

バイオマス事業補助金の一部返還に関する損害賠償請求住民訴訟事件(栃木県)

上記のとおり、栃木県は国に対して補助金の返還を行ったが、当該返還に係る支出が違法なものであるとして住民訴訟が提起され、第一審では知事の過失が認められたが、控訴審において取り消されたもの。

以下、第一審判決のうち、間接補助事業者等が取得等した財産の処分に係る補助金適化法の適用について抜すいする。

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(県がした国庫補助金相当額の返還は違法か)について
(1) 略
(2) 法22条が間接補助事業者等がする財産の処分に適用されるかについて
ア・イ 略
ウ 法22条は,補助事業者等が補助事業等により取得等した財産の処分について制限を課す規定であり,間接補助事業者等が間接補助事業等により取得等した財産の処分について直接に規律するものではない。また,法においては,補助金等は国が主体となって交付するものであり,間接補助金等は国以外の者が主体となって交付するものであるから,補助金等と間接補助金等は,上位,下位の関係にある用語ではなく,それぞれ独立した概念を規定する用語である。したがって,補助金等の交付を受ける主体である補助事業者等と間接補助金等の交付を受ける主体である間接補助事業者等についても,それぞれ独立した概念を規定する用語である。そうすると,法は,間接補助事業者等が間接補助事業等により取得等した財産の処分について制限を課すか否かについては直接に規律しておらず,むしろ,補助事業者等が間接補助金等を交付するに当たってどのように規律するかにこれを委ねているものと考えられる。
 したがって,法22条は,間接補助事業者等がする財産の処分には適用されない。
エ よって,間接補助事業者等であるαがする財産の処分について法22条は適用されないのであるから,本件承認は法22条に基づくものとはいえない。
(3) 略